公認会計士・税理士の古谷です。10月からインボイス制度が始まりました。今回はインボイス登録を行った個人事業主の確定申告についてこれまでとの違いや注意点を解説します。すでにインボイス登録された方やこれから登録予定の方も参考にして頂ければと思います。
① インボイス登録で確定申告はどう変わる?
インボイス登録を行うと消費税の納税義務が生じます。これによってこれまでの確定申告では所得税の申告のみでよかったですが、今後は消費税の申告も必要になります。
② 消費税の確定申告とは?
消費税の確定申告と言われてもあまりピンとこない方も多いと思います。消費税の確定申告の概要については以下の通りです。
※提出書類については後述する申告制度によって異なるため、申告前に確認することをおすすめします。
参照:国税庁「消費税額及び消費税の確定申告の手引き・様式集」
③ 消費税の計算方法について
消費税の申告をする際の消費税の計算方法については原則、本則課税と簡易課税の2つの方法があります。ただし、インボイスの導入に対応するために2割特例という計算方法も新たに設定されました。
以下、それぞれの計算方法となります。
簡易課税を適用するには届出が必要であり、メリットデメリットもあります。こちらについて後日別記事にて解説を行います。
④ 2割特例について
今回インボイスの導入に伴い新たに設けられた2割特例は上記の計算式の通り、簡単に言うと売上の消費税の2割を納税してくれればいいよという方法です。多くの消費税課税事業者にとっては有利な計算方法になることが想定されますので、インボイス登録をされて消費税事業者になった方はこちらの計算方法の採用を検討してみるといいでしょう。ただし業種によっては本則課税や簡易課税のほうが納税額が少なくなることもありますので詳しくは税理士のご相談することがおすすめです。
⑤ 設例を使って納税額を比較
実際に具体例を使って納税金額の比較を以下で行ってみました。
今回の例ではサービス業を取り上げていますが、業種によって簡易課税の税率は変わることや経費の金額によって有利選択の結果が変わることも十分あり得ますので、詳しくは税理士までご相談ください。
今回はインボイス登録によって個人事業主の方の確定申告がどのように変わるのかを注意点を交えながら解説しました。消費税の申告は慣れていない方も多く、また選択する計算方法によって納税金額にも差が生じますので、慎重に検討するようにしましょう。弊所ではインボイス登録された個人事業主の方の確定申告のご相談を受け付けておりますので、お悩みの方はぜひ一度お問い合わせください。初回相談は無料となります。
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